決戦は5月11日





今日は5月9日

青学テニス部部室ではとある会議が行われていた。


来る5月11日、そう我らが海堂薫の誕生日だ。


誰がその日を海堂と過ごすのかを賭け、海堂を除く、レギュラー+1名で死闘が繰り広げられていた。


「僕以外に誰が海堂とつり合うと思うの?」


開口一番、開眼した不二に一瞬でその場が凍り付く。
天才不二の開眼に勝てる者はいない。


しかし、そこで引き下がるレギュラー+1ではなかった。

「薫ちゃんは、不二とじゃ心休まらないにゃっ!俺とペットショップ巡りするんだ!」

「ふっ畜生風情がっ!巡りじゃなくて売りもんだろ」

「ひどいにゃ〜」

菊丸撃沈




「まだまだだね」
「エージ先輩あめーな、あめーよ」
「何?今度は君たちが相手なの?」


ぞおぉ〜その場にいた全員が凍り付く。


直撃を喰らった2人はもう少しのところでダウンしそうだったが、

さすが青学一のくせ者となまいきルーキーただでは倒れません!


「はい。タカさん」

「何だい?桃」


タカさんにラケットを渡す桃城
「燃えるぜっ!バーニングッ!」
不二様薄ら笑い


「タカさん」
「何だい?フ〜ジコちゃん」
「タカさんは僕のこと好きだよね?」
「もちろんだぜ!ハニー」
ニヤリ
「海堂くんよりも?」


僕は純真無垢です!というような顔でタカさんを見上げる不二。


はい。タカさん堕ちたぁー。




「クソーッ!」×


タカさん脱落に不二攻略が見出せず、悔しがる王子と桃城。



「二人とも、こんなことで僕を倒せると思ったの?」
浅はかだよね・・・と呟く不二の姿に一体誰が刃向かえるだろう、いや刃向かえまい。
と言いたいところだが、こんなところで腐ってちゃあ青学レギュラーではありません。

・・・1名すでにレギュラーではありませんが、気にしない、気にしない。


「ねぇ、そろそろ消える?」


なっ何をする気だ!不二〜(泣)

その言葉と同時に王子と桃城が苦しみだしたかと思うと、

一目散に部室を出ていき、辿り着いたさきはトイレだった。


そーです。
あの二人の飲物にあの男は・・・一服盛ったのです。



王子、桃城ともに脱落。



「不二、人に危害を与える行為はあまり感心しないな」
青学の母である大石が不二に勇気ある注意をした。


「何?次は大石が相手なの?」

ふふっと不気味に笑う不二を見て、

悪寒がする大石だったが自分も海堂争奪戦者の一人。
このまま不二に海堂を渡してしまっては海堂が居たたまれないと敢えて自分を正当化し、不二と戦う決意をする大石だった。


・・・同じ穴の狢なのにね。



「不二、自分さえよければいいという考え方はやめて、もっと思いやりをもとう」
すっごくさわやかに且つスポーツマンシップに則り・・・みたいな感じの大石に対し、

不二はというと・・・

「ねぇ。いい子ちゃんでいるの疲れない?」
あっそれが仕事かぁと嘯く始末。

大石はカッとなり

「不二!そうやって人の心を土足で踏みにじったり、かき回したりするのを・・・」
「ねぇ。人じゃなければいいの?さっき言ったよね、人に危害を加えるなって」


自分の言葉を遮り唐突に言った不二の言葉を諮りあぐねた大石。


「一体どういう意味なんだ」
クスッ
「わからない?言葉通りだけど、だから人でないものに・・・ねっ」


不穏な空気か辺りを支配する。


「ねぇ。大石、早くお家に帰ったほうがいいんじゃない?君の大切な・・・死んじゃうよ」
「!!!!!!」


うわぁぁぁ〜
狂ったように家路を急ぐ大石。
彼の大切な熱帯魚の一大事です。


「ふふ、人なんて限定するから・・・」

ほんとバカだよね。


大石言葉のあやとりミスで敗退・・・。急げ秀一郎!
そして救うのだ!
薫ちゃんは救えなかったが、せめて生きとし生ける生物を!



「ごくろうだったな」
「よく言うよ。計算通りだったくせに」

お互い表情が読めないまま話を進めていく。



「で、どうするつもり?」
暗に自分を負かす策はあるのかと問う不二。

「知りたいか?」
たいして勿体ぶりもせず、無機質に答える乾に

「嫌な物言いをするんだね。早く教えなよ」
少し苛立ち気に問いただした。

「聞いたことを後悔することになるぞ」

「脅しのつもり?」

「脅しじゃないさ。真実だよ」
そういってニヤリと笑う乾の顔は自信に満ち溢れていた。
まるで、自分より強い者を越える瞬間がきた人のように。

今まさにそれが行われようとしている。



「不二。大切なものはあるか?」

「どういう意味?」
「言葉のままだよ」
乾の問いに少なからず戸惑い、考えてみるが思い浮かばない。
「特に何もないよ。そういうモノは自分の足を引っ張るからね」

正直に答えてみる。
その答えに満足したのか不敵な笑みをする乾。
「そういうと思ったよ」
良かったとつぶやく乾に怪訝な目をする不二。

不二には乾が何をしたいのかが全く理解できず、乾が行動を起こすのただ待つしかなかった。

そして、そのときは訪れた。

突然乾がマル秘ノートをパラパラとめくりだし、あるページを開いた。


「不二、5月3日午前2時17分、ルドルフ寮○○○号室潜入」
「不二、5月3日午後1時46分再び○○○号室潜入、部屋物色」
ビクッ。
不二の身体が激しく震える。
それを横目で確認し、さらに続ける乾。
「不二、5月3日午後4時25分○○○号室にて、姉のラズベリーパイを食す。
匂いづけのためだろう」

ビクッ、ビクッ。

不二の顔面は蒼白になり、唇を噛み締めていた。

「不二、5月3日午後5時50分○○○号室に隠しカメラ設置。ついでに△△△号室にも設置」

「5月3日午後6時15分○○○号室に裕太君帰寮、わずかな懐かしい匂いに戸惑う」


ここまでくるとさすがの不二も耐えれなくなる。


「不二、5月4日午前2時50分○○○号室潜入。カメラのテープを入替。同様に△△△号室のカメラもテープ入替」


「不二、5月4日午後4時55分○○○号室潜入。かぼちゃ入りカレーを食す。その後、テープ入替。△△△号室も入替」


「5月4日午後6時27分○○○号室に裕太君帰寮、またまたわずかな懐かしい匂いに戸惑う」


「不二、5月5日午前2時45分○○○号室潜入。カメラ回収。同様に△△△号室のカメラも回収」


「5月5日午前8時15分裕太君△△△号室を訪れ、実家に帰ることを告げる」


ガタガタと震え出す不二を尻目にマル秘ノートを閉じた乾。



「不二、裕太君は家に帰るつもりは無かったようだが、上手くいって良かったな。裕太君は自分の意思と思っているようだが、このことを知ればどう思うかな?」



ゆ゛〜う゛〜たぁ〜!だって、ひぃック、裕太・・・ゴールデンウィークだっていうのに、お家に帰って来ないって言ったんだぁ〜」



ゆ゛〜う゛〜たぁ〜!ごめんよ〜!淋しかったんだぁ〜


床に伏して泣き叫ぶ不二。

惜しくも、不二敗れたり。

「おい、乾。俺を忘れているぞ」
「手塚、いたのか?」

チラっと手塚を見て、何やら鞄をゴソゴソする乾。

「あっ、あった」
どうやら、お目当てのものが見つかったようだ。

「手塚、コレ」
「ん?何だ?」


ブゥ〜!

いきなり鼻血を噴出し、ぶっ倒れた手塚。
その手には、あられもない海堂の姿を収めた写真が握り絞められたいた。

「よし、駆除完了」

手塚の手から写真を回収した乾は手塚の亡骸に事も無げに言った。

「手塚、忘れていたんじゃなくて、一番片がつけやすかったから、最後まで残しておいたんだよ」


勝者、乾


「そろそろ、海堂が戻ってくるな」


時計の針が7時を指そうとしている。


その時


ガチャッ


「えっ!?乾先輩・・・っ!?


ビクッ!


海堂は部室に入ってきたことを後悔した。


部室には、何故か床に横たわっているタカさんと鼻血を噴出してる手塚や床に伏して何かを叫んでいる不二がいた。


(みっ、見ちゃだめだ!)


海堂は敢えて何事もないフリをした。


「先輩、なんでこんな時間まで?」

「海堂を待っていたんだよ」

「俺を?」


首を傾げて?マークが飛んでる海堂は悶絶もんの可愛さだったが、乾はそこを堪えて、本題に入った。


「海堂、11日って空いてるか?良かったら、俺と・・・」

「すんません!その日は予定が入ってるんス!」

間髪入れずに、断りの台詞。

こんなに頑張ったのに、あっさりと断られるとは思ってもみなかった乾は目に余るほどの落ち込みようだった。

それは、海堂の心を動かせるほどに。



「すんません。葉末・・・弟と約束してるんスよ」

「弟君とか・・・じゃあ仕方がないね」

「先輩?」

「いや、11日は海堂の誕生日だろ?だから、一緒に祝いたいと思ってね。残念だな」


乾の言葉に赤面する海堂。


「先輩、俺の誕生日覚えてくれてたんスね。嬉しいっス」

「あたり前だろ。俺が海堂の誕生日を忘れるはずがないだろう?」


なんだか甘いムードが部室を支配し始めた。


「海堂、明日はどうだ?」

やはり、諦めきれないのか尚も言い募る。


「明日ですか?」

「そう、明日だ。俺の家に泊まりに来ないか?誰よりも先に海堂におめでとうと言いたいんだ」


「っ先輩!」


乾の歯の浮くような台詞に赤面する海堂。


「だめかな?」


ブンブンと首を横に振り、

「だめじゃないっス」

というと、照れているのか俯く海堂。


「海堂!」


ガバッと海堂を抱きしめる乾。

この男、嬉しさのあまり感情を押さえることができなかったようだ。


そして、こんなことを許す海堂ではないので、当然の如く殴られた。


「痛いよ、海堂。ひどいじゃないか!」


「あんたは、ココを何処だと思ってんだ!場所をわきまえろ!」


「ふ〜ん。ココじゃなきゃいいんだな?」


不適な笑みで海堂に近づき、海堂の耳元で「俺の部屋とか?」というと、明日が楽しみだなぁと呟く。


「なっ!誰もそんなこと・・・」


「明日、海堂の家に迎えに行くからね」

「っ!勝手にしろ!」




こうして、海堂薫14歳の誕生日は波乱の幕開けとともに、激しく幕を閉じたのでした。








<おまけ>



チッチッチッ



ボーンボーンボーン



「誕生日おめでとう」

「ありがとうございます」


見つめ合う二人。



そして、いつしか重なる影。




「来年も、その次の年も、ずっと一緒にいような」

「はい」






HAPPY BIRTHDAY





あとがき・・・
寿で伊音愚様、大変お待たせしました。
8月でしたかね?このリクをもらったのは!?
その時にしても、季節はずれでしたが、いざUPすると・・・。
いいのか!?っていうくらい季節はずれですな。
しかも、何!?みたいな内容。
苦情受付ます。
これまた、書いてる内に内容が変わった代物です。
当初の予定では・・・。
でも、楽しんで頂けたら幸いです。
感想お待ち申し上げております。



 

 












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